「縮小」ではなく「編集」するまちづくり

子どもたちと歩いていると、ふと「この町、20年後はどうなっているんだろう」と胸がきゅっとなる瞬間があります。 人口減少、高齢化。そして、避けては通れない「公共施設の再編」。

正直に言えば、それはきれいな言葉で飾っても、「サービスの縮小」や「予算の削減」という痛みを伴う現実です。 ある日、中学生の息子が何気なく言いました。

「大きい町に行ったほうが楽しいのかな?」

その一言が、心に深く刺さりました。 私たち大人が、減っていく予算やサービスの低下を嘆くだけなら、子どもたちが希望を見るのは都会だけになってしまう。

でも、建設の現場に立つ人間として、こうも思うのです。 今求められているのは、「身の程を知る」勇気なのかもしれない、と。

「身の程を知る」というとネガティブに聞こえますが、それは「今の自分たちに本当に必要なサイズを知る」ということです。 すべてを維持することはできないけれど、本当に大切な場所を選び抜き、そこに情熱と技術を注ぎ込むことはできる。

広げすぎた風呂敷を畳み、ギュッと密度を高めること。 古くなった施設をただ壊すのではなく、今の暮らしに合わせて使いやすく生まれ変わらせること。

それは「縮小」というよりも、町を「編集」し直すクリエイティブな仕事です。 「予算がないから仕方ない」ではなく、「このサイズだからこそ、こんな面白い使い方ができる」へ。

子どもたちに見せたいのは、あきらめて手放す背中ではなく、賢く選び取り、工夫している大人の姿です。

20年後、筋肉質でしなやかになったこの町で、子どもたちが胸を張って言えるように。 「僕の町、小さいけど最高でしょ?」

そんな未来を、痛みも分かち合いながら、みんなでつくっていきたいのです。

― 堀内大祐(株式会社堀内組 代表取締役社長)

粟ヶ岳と水源地