段取り八分 現場の鉄則と、出たとこ勝負の私の人生

現場に立つ朝、まだ誰も重機を動かしていない静かな時間があります。 ヘルメットの中で職人たちと交わされるのは、「今日の作業の流れ」と「気をつけるべきこと」。

昔から建設業には、こんな言葉が伝わっています。 「段取り八分(だんどりはちぶ)」。

仕事というものは、始まる前にほとんど決まっている。 準備さえしっかりできていれば、仕事の八割は終わったようなものだ、という意味です。

建設の仕事において、何より大切なのは「安全」です。 だからこそ現場では、しつこいくらいに段取りを確認します。 材料を搬入する順番、重機の動線、人の配置。 「まあ大丈夫だろう」という曖昧さは通用しません。 徹底した備えがあるからこそ、事故を防ぐことができる。当たり前のようで、とても奥深い世界です。

……とはいえ、正直に白状しますと。 私自身の人生は、どちらかというと「段取り八分」とは真逆の、「出たとこ勝負」でした(笑)。

走りながら考える。 失敗してから反省する。 そうやって泥臭く、なんとかここまでやってきました。

でも最近、ふと思うのです。 人生も、もう少し「段取り八分」でいけたら、もっと安心して生きられるのではないか。 余裕があれば、もっと周りに優しくなれるんじゃないか、と。

完璧じゃなくていいんです。 少し準備するだけで、見える景色は変わるはず。 建設の現場で学んだこの素晴らしい言葉を、これからは私の人生にも、そっと使っていきたいと思います。

― 堀内大祐(株式会社堀内組 代表取締役社長)

雪国の段取り八分