桃の節句に寄せて 焦らず、春を待つ

全国的には梅が満開を迎え、もう散り始めたというニュースを耳にします。 しかし、ここわが家の庭にある梅は、まだ小さなつぼみのまま。加茂の春は、一歩一歩、ゆっくりとこちらへ向かっているようです。

ふと山を見れば、杉の葉の先が今にも爆発しそうなくらいに膨らみ、たっぷりと花粉を抱えています。普段はアレルギーに強い私でさえ、思わず身構えてしまうほどの気配。それでも、道端の残雪はほとんど消えて、季節が確実に前進していることを教えてくれます。

この時期の景色を見ていると、私たちの「現場」を思い出します。 厳しい寒さの中で準備を重ね、見えないところでじっと力をためる。 その地道な“つぼみの時間”があるからこそ、やがて一気に花開く瞬間の美しさが際立つのです。建設の仕事も、丁寧な基礎と準備があって初めて、確かな形になります。

子どもたちの成長も、きっと同じではないでしょうか。 周りと比べて焦る必要はありません。今はまだつぼみでも、根っこがしっかりと大地を掴んでいれば、春は必ずやってきます。

加茂の春は、もうすぐそこ。 季節のうつろいを肌で感じながら、今日も一日、しっかりと足元を固めて歩んでいきたいと思います。

― 堀内大祐(株式会社堀内組 代表取締役社長)

ひとかけの残雪