AIにできない、手仕事の誇り

朝の現場で、職人さんの腰に揺れる道具「ツールベルト」が、冬の陽を浴びてキラリと光っていました。 たくさんの工具が並ぶその姿は、まるで一本の映画のワンシーンのようで、自然と背筋が伸びます。

最近、アメリカやドイツで「職人=マイスター」への評価が見直されているというニュースをよく耳にします。 ツールベルトを身につけて働く人たちを、誇りある専門職として尊敬する動きが広がっているのです。

その背景には、「手でつくる仕事」「人に寄り添う仕事」が、AIでは決して代わりきれない特別な価値を持っていることに、世の中が気づき始めたからだと感じています。

私たちの建設現場でも、それは同じです。 図面には載っていない「この一手間が大切だ」という気づきや、「最後のひと仕上げ」に込める丁寧さ。 それらは、長い経験を重ねた職人さんだからこそできる、かけがえのない仕事です。

数字だけでは測れない評価軸に悩むこともありますが、職人さんたちの日々の姿勢や、手仕事から生まれる美しさは、確実に未来へとつながっていきます。

人がつくり、人が守り、人が育つ場所である建設業は、これからもっと面白くなります。 職人さんたちの持つ技術と誇りが、次の世代の子どもたちにしっかり届くように—— 私も、その価値を伝える橋渡し役であり続けたいと思います。

― 堀内大祐(株式会社堀内組 代表取締役社長)

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