はじめての民泊

先日、はじめて「民泊」を利用しました。 泊まったのは、昭和の民家を少しだけ手直ししたお家。 玄関を開けた瞬間、ふっと懐かしい空気に包まれました。柱や建具に残る時間の跡が、子どもの頃の記憶をそっと呼び起こしてくれるようです。

聞けば、ここは昔、芸者さん方が暮らしていた家なのだとか。 同じ大工さんが建てた家が三軒、仲良く並んでいることから「三姉妹」と名付けられているそうです。 その名前の通り、どこか人の温度を感じる、とても居心地のいい空間でした。

最新の設備が揃っているわけではありません。 けれど、必要なところにはきちんと手が入っている。 派手さよりも、「住む人が心地よく過ごせるように」という静かな思いやりが伝わってきます。

これは、私たち建設の仕事も同じだな、と感じました。 ただ新しいものをつくるのではなく、そこで営まれる誰かの暮らしを想像し、そっと支えること。それが一番大切なのだと。

古いものをただ壊すのではなく、活かす。 人も、家も、地域も。時間を重ねたからこそ生まれる価値があります。

私たちが目指したいのは、まさにこんな空間づくりです。 「また帰ってきたくなる場所」を、このまちの中に一つずつ増やしていきたいですね。

― 堀内大祐(株式会社堀内組 代表取締役社長)

三姉妹と名付けられた建物