塞の神 炎に見守られ、春を待つ。地域でつなぐ無病息災の願い

2月とは思えないほど澄み渡った青空の下、加茂市の七谷温泉「美人の湯」にて、今年も恒例の「塞の神(さいのかみ)」を執り行いました。 無病息災と五穀豊穣を祈るこの行事は、雪国にとって冬の終わりを告げ、春の訪れを予感させる大切な節目です。

準備は、前もって集めた竹や藁を組むところから始まります。当日は朝から、雪にまみれながら大人も大学生も、そして子どもたちも一緒になって汗を流しました。 こうした時の「段取り」は、どこか建設の現場に似ています。誰が偉いというわけではなく、それぞれが自分の得意なことを持ち寄り、一つの大きな形をつくり上げていく。その一体感が、何とも心地よい時間でした。

そして、今年の恵方である南南東に向けて、年男・年女の手によって点火。 勢いよく、真っ直ぐに燃え上がる炎を見上げていると、不思議と胸の奥が静かになります。「今年も家族や仲間が元気でいられますように」という言葉にしない願いが、火の中に吸い込まれていくような、神聖な心地でした。

火が落ち着いてからのお楽しみは、残り火で焼くスルメ。……そして、今どきらしくマシュマロも! すすで顔を黒くしながら、お互いの顔を見て笑い合う。この何気ない笑顔こそが、一番のご利益なのかもしれません。

地域の伝統や風習は、誰か特定の人が守るものではなく、そこに住むみんなで創り、つなぎ、更新していくもの。 次の世代が、何十年後も今日と同じように笑い合えるように。 私たちも、この町の未来を支える一員として、できることを積み重ねていきたいと思います。

― 堀内大祐(株式会社堀内組 代表取締役社長)

青空の下点火